昭和7年、先代が開業して以来90年続く写真館「スタジオゆもと」。
店主の湯本真司さんは、その昔、カメラという機材がとても貴重であった少年時代からレンズを覗き続けている。
小さなころから写真館を経営する父の姿を見て育ち、三脚を持ったり暗室の作業を手伝っていた。
当時はもちろんフィルム写真の時代。 カメラ自体がまだまだ普及していない時代だ。
「学生の頃さ、学校にカメラ持って行ってモテたね~。可愛い女の子の写真撮って自分で現像して渡してやると、喜ばれたなぁ(笑)。」
と懐かしそうに語る湯本さん。
その頃から始めていた写真撮影、長年かけて技術を磨き上げてきた。
時代と共に変化してきたカメラの世界も今はデジタルに。
湯本さんはその変遷の中で変化を見続け、柔軟に生きてきた。
今はその技術をもって講習会の講師をすることが多いそうだ。
プロのカメラマンが集まるその講習会で、湯本さんは”光のコントロール”を教えるという。
「デジタルカメラを持てば誰でもカメラマンになれる時代さ。失敗したら消して、またすぐに撮れるからね。でもストロボを使って撮れる人は本当に少ない。光った時に見る目を持っているカメラマンはもうほとんどいないね。」と語り、指導にまわる。
そんな湯本さんは、幼稚園や学校の卒園・卒業アルバム作製も多数請け負っている。
「アルバムの写真を撮りに高校へ行くのは楽しいよ、若い子たちから元気をもらえるからね。」と言う。
クラス写真だけの卒業アルバムが多くなる中、湯本さんが作る富良野高校の卒業アルバムには、部活動の写真もたくさん取り入れられる。
走る姿、飛ぶ姿、ぶつかり合う姿、、、学生が高校生活を満喫する姿がいっぱいだ。
毎年修学旅行にも同行。彼らの大切な思い出を写真に残す手伝いをする。
そして、学校アルバム作製指導員にもなっているため、全国からアルバム作製の指導を求める連絡も後を絶たない。
様々な仕事をこなす湯本さんだが、スタジオ撮影が本職と言う。
「時代が変わって今は色んな写真スタジオがあるけど、着物姿を美しく撮ることができる写真屋さんはいなくなったなぁ。道内でも数えるほどじゃないかな。」
着物姿を美しく撮るためには、その所作や着こなしの知識がなくてはならない。
「娘が望むスタジオで成人式の写真を撮ってきたけど、やっぱり納得がいかなくて、、、って言いながら、娘さんを連れてここへ撮り直しに来る人もいるんだよ。」と語る。
これからの季節増える、成人式の写真撮影。
スタジオゆもとでは「湯本美容室」を併設しているので、着付けから前撮り、後撮りも含め、成人式以外の着物姿の写真撮影も安心して任せられる。
湯本さんの”私の山部自慢”は、
『景色が綺麗で静かなところ。おススメスポットは太陽の里。』
「やっぱり何年か後に見たらいいもんだよ、アルバムって。」と、湯本さん。
90年に渡り山部の人々を見守ってきた写真館「スタジオゆもと」。
ここで、湯本さんの話を聞きながら家族写真を撮るのも楽しそうだ。
その写真をアルバムで振り返る時、きっと笑いながら撮影したその時の会話も
良い思い出になっているだろう。