9月7日にオープンした石臼挽き手打ち蕎麦のお店「薫風庵」。
築60年の古民家をリノベーションして店舗に改装。
店内は懐かしい空気に包まれている。
昭和を感じる店内だが畳席にはテーブルが置かれている。
最近は正座が苦手な人も多いからテーブルを置いたそうだ。
嬉しい気づかいだ。
薫風庵の蕎麦は「丸抜き」と呼ばれる玄蕎麦から、そば殻(外皮)だけをきれいに取り除いたそばの実を仕入れ、石臼で挽く。
そばの実の中側だけを使うと更科蕎麦、外側も使うと田舎蕎麦となる。
その中間を使うことで喉越しが良く、コシが強い麺が生まれる。
食材ひとつひとつにもこだわり
長野県、大久保醸造の醤油
養命酒のみりん
静岡産のわさび
辛味大根も長野から
そして、ネギは地元山部産のものを使う。
蕎麦作りには欠かせない美味しい水にもこだわり、山部で開業することを決めたそうだ。
”体に良い食事を提供する自分のお店を開きたい”
という長年の夢を叶えるため退職し、1年間蕎麦作りを勉強した。
ハードな修行生活を終え、度々遊びに来ていた富良野で物件探しをしていて出会ったのが、今のお店の場所だった。
趣味の料理が高じて現在の仕事に出会った美由紀さん。
料理をしている時にこう思ったという。
「生きている間に食べる回数は限られていますよね?そこで自分の作ったものが人の口に入ること考えると、ごまかさず正直に作らなければいけないという使命感を感じました。」と。
自分自身は普段1日に食べる3食の1食1食にそこまで意識をした事がなかったので、なんだか恥ずかしい気持ちになった。
美由紀さんの打った蕎麦をいただいた。
辛口に仕上げられたつゆは香りも抜群。こだわりの手打ち麺と絡み箸が進む。
蕎麦湯で頂くと辛さがまろやかな口当たりに変化し、最後まで存分に楽しめる。
美由紀さんの想いが細部まで詰まっていて、これまでにない満足感を得た一品だった。
美由紀さんの”私の山部自慢”は、
『芦別岳から流れるお水がとても美味しいところ』。
食べるもの、場所、食器、目に入る景色、空気感。
どれか1つでも欠けてしまったら成り立たない、そんな蕎麦。
皆さんも是非、こだわりの蕎麦を五感で感じてみてほしい。